ニコリと、ありがとうの風 表紙

Destiny Island WORLD/うんのしまふれんず の物語。アプリコッ島の森の奥の占いの館『森の奥の占い研究所』。心の声を聞く占い師ニコリと、相棒のジャガー・ハルの、小さな一日のお話です。

1ページ目|森の朝

森の朝

アプリコッ島の森には、心の声を聞く占い師が住んでいます。
その名は、ニコリ。
今朝の風は、なんだか少しだけ、いつもと違いました。

2ページ目|ちがう風

ちがう風

「リンっ♪
……ねえハル、今の風、聞いた?
なんだか、島の空気が少しだけ動いた気がする」
ハルは、耳をぴくりと動かして、森の向こうを見つめました。

3ページ目|朝の占い

朝の占い

ニコリの朝は、占いから始まります。
今日のカードが告げるのは――「出会いの予感」。
「ふふ。誰か、動き出したのかな」

4ページ目|迷子の小鳥

迷子の小鳥

そのとき、森の入り口で、小さな鳴き声が聞こえました。
巣に帰れなくなった、迷子の小鳥でした。

5ページ目|心の声

心の声

「大丈夫。あわてなくていいよ。
……うん、聞こえた。帰りたい場所は、こっちだね」
ニコリの力は、心の声を聞くこと。
言葉にならない気持ちも、そっと拾い上げることができます。

6ページ目|導き

導き

ニコリは、小鳥の少し前を歩きました。
速すぎず、遅すぎず。小鳥の歩幅に合わせて。
導くというのは、引っぱることではなくて、隣を歩くことなのです。

7ページ目|巣の木

巣の木

「あっ、帰ってきた!」
巣では、家族が待っていました。
小鳥は羽を広げて、まっすぐ巣へ飛んでいきました。

8ページ目|ありがとう

ありがとう

「ありがとう!」
その小さな「ありがとう」は、風に乗って、森いちめんに広がりました。
ニコリは目を細めて、その風を受け取りました。

9ページ目|感謝の実

感謝の実

「リンっ♪
『ありがとう』って、言った人の心も、聞いた人の心も、両方あたためるんだね」
ニコリは知っています。
感謝は、運を巡らせる最後のひと押しになることを。

10ページ目|森の夕方

森の夕方

夕方、森が静かになりました。
でも、今朝から感じる「何かが動き出した」気配は、まだ消えていません。

11ページ目|遠くの足音

遠くの足音

「……ねえハル。
この島に、誰か新しい風を連れてきたみたいだよ」
ニコリの直感は、よく当たります。
遠くの島で、ひとりの冒険家が、「うん」を探す旅を始めたことを、ニコリはまだ知りません。

12ページ目|夜の占い

夜の占い

「リンっ♪
カードは言ってる。
『出会いは、まだ先。でも、運の輪はもう回り始めた』って」

13ページ目|運の輪

運の輪

誰かが動いて、誰かが選んで、誰かが育てて。
その先で、いつか感謝が巡ってくる。
ニコリの占いは、その大きな輪を告げていました。

14ページ目|館の明かり

館の明かり

「今日も、いい一日だったね。
明日はどんな心の声が、この森に届くかな」

15ページ目|明日の予感

明日の予感

アプリコッ島の森の占い師は、まだ見ぬ出会いに向けて、静かに準備を始めます。
運の輪が、この森に届くその日まで。

16ページ目|次回予告

次回予告

次回――
『ニコリと、はじめてのお客さま』
誰かの「ありがとう」が、今度はニコリを導いていくお話。
「リンっ♪ お楽しみに」